
総長っていったい何をしているのか、疑問に思っている皆さんも大勢いるかと思います。ここでは、私が日々取り組んでいる仕事やその中で感じたことなどを、自由闊達に紹介していこうと思っています。
4月18日
すっかり暖かくなってきた、いや暑くなってきた今日この頃です。総長室にこもっていると季節の移り変わり、わかりにくいのですが、今日は学内の移動が2件ありました。すっかり学内も新緑に移行、ハナミズキがきれいに咲いています。
まず、午前中に高等研究院がアレンジしている全学教養科目「学問の面白さを知る」で1時間半、みっちりと宇宙の話をしてきました。
対象は全学の一年生が中心で、200名ほどになります。過去は300人入る経済学部のキタンホールで実施していた授業なのですが、コロナ以降は、教養教育棟の教室に変わりました。この授業、15人ほどの名大の研究者たちがオムニバスで自身の研究について語る、というもので、学生には全部聞いてもらいます。ただレポートに関しては、理工系、生命系、人文社会系と3つのグループ各々で1つずつ3つ書く、というスタイルです。4?5名の先生から選ぶわけですから、教員の側からすると平均40枚ほどのレポートを採点すれば良いということになります。ただ、宇宙は人気でいつもたくさんレポートをいただくので、採点には四苦八苦です。
授業では見えている宇宙と見えていない宇宙について解説したのですが、大学の授業ということもあり、最新の結果を含め、少しつっこんでお話をしました。感心したことに、みなさん集中して聞いてくれていたようでした。ちなみに教壇ってみなさんが思うよりもずっと生徒が良く見えます。寝てたりスマホいじっていればすぐにわかります。
さて授業の後、午後からは独立研究者を育成する事業T-GExの新年度キックオフに出席してきました。ご挨拶と、新しい支援対象者(フェロー)と他大学?企業から参加してくださるアソシエートの皆さんにプログラムの採用証を渡すのがお仕事です。NIC館イデア?ストアで行われたキックオフには、フェロー5名(名大4名、岐大1名)、他大学?研究機関のアソシエート5名、企業アソシエート4名の新規の方に参加いただき、採用証を授与して記念写真を撮りました。このプログラム、企画の段階から見てきたので、本学はもとより企業や周辺大学の方々にも喜んでもらえるものに成長してきたのかと、感慨もひとしおでした。楽しんで参加いただけると幸いです。
4月15日
今日は学術会議の二日目、国会に提出されている日本学術会議法案に対する意見をどのように取りまとめるかの議論を、昨日に引き続き行いました。
文系の第一部の有志が中心になって出してきた提案と、会長?幹事が取りまとめた声明の二つを総会として認めるかの審議でした。前者は「法案は学術会議側が求めていた要件を充たしていないので、修正を求める」という「決議」、後者は「学術会議との間で完全な合意が得られていない法案の提出は遺憾であり、修正の可能性も含め十分に慎重な審議を望む。ただ、いずれにせよ学術会議は自身で改革を続け役割を果たしていく」と言う内容の2ページになる「声明」です。こう書いてみると違いが分かりにくいのですが、前者の方が法案に対する反対の色が濃く出ています。
たくさんの意見が出され、会長らの必死の調整もあったようですが、結局、「決議」と「声明」、どちらも投票にかけられ、認められました。報道では、分かりやすい「決議」の方が大きく取り上げられていたようです。
結果の是非については控えますが、学術会議というところは、意見を出す(意思の表出)ためのルールというのがかなり厳密に決められています。基本的には政府に向けて意見を言うところなので、一番強いのが、勧告(政府に実現を強く求める)、次に要望、声明、提言、見解などさまざまな形での意思の表出になります。それぞれの出し方には、ルール(査読を求めて、総会で承認するなど)がしっかりと決まっています。今回提案された「声明」は、これまでも出してきたもので、その書きぶりや表出へ向けてのプロセスは明快に決まっているものです。しかし、決議、と言うのは私は少なくとも聞いたことがなかったので、確認してみたところ記録に残っているところでは、過去1967年に「日本学術会議の予算の大巾増額について」と言う決議が存在していました。まさに歴史的な決議になりました。
4月14日
本日は朝から東京の日本学術会議で総会に出席しています。
いよいよ法人化などを骨子とした日本学術会議法案が国会に提出されることとなり、法案に反対する人たちが学術会議の建物の前に陣取りビラを手渡すなど、なかなかに騒然とした雰囲気での総会開催です。
初日の午前中には、「我が国の学術の発展?研究力強化に関する検討委員会」の検討報告がありました。日本の研究力が下がっていること、研究に費やす時間が減少していること、研究者を目指す若者に夢を見せることができていないこと等、これまで色々なところで指摘されてきたことがまとめられていました。特に目新しい指摘はなかったのですが、実際の数字や現場の意見などが取りあげられていたので、説得力のある説明で参考になりました。
3日間の日程での総会ですが、明日まで参加して名古屋に帰ります。
4月11日
今週は公式なお客さんも少なく、会議?打ち合わせはありましたが比較的穏やかに過ぎました。
本日は、CBCテレビの番組審議会に出席してきました。放送法で定められた、放送番組の適正を図るために設けられた委員会です。どの放送局にもあり、その審議内容は公開されることになっていて、CBCテレビでは日曜早朝のウォッチCBCで紹介されるとのことでした。委員は10名、学術界、産業界、マスコミ関係、文化人など様々な方々で構成されています。私は今年度からの参加になります。
今回は、全放送時間の中でどのような割合で様々な情報が番組によって伝えられているかの報告がありました。報道、教育、教養、娯楽などに分けられています。例えば報道番組では当然報道が主ですが、教育や教養の要素がある場合があります。その場合には、割合で按分して、全番組について計算をするとのことです。結果を見せていただいて驚いたのは、それなりの割合で教育があったことです。私たちが思う教育に比べて広い定義になっているように感じました。また自由討論の中で、「なぜどの放送局も同じような番組ばかり流しているのか」といった鋭い指摘をされた委員がいらっしゃって、大変議論が白熱しました。
私は生まれた時には家にテレビがあった最初の世代です。少しでもテレビに恩返しができたら良いな、と思っています。
4月5日
本日は入学式でした。幸い天気もよく、桜もしっかりと満開の状態で残っていてくれて、最高の入学式日和となりました。
学部2回、間に大学院を挟んでの合計3回に分けての式典になります。私の挨拶では、大学や各々の学部の歴史を短く述べたあとは、チャレンジと失敗をして欲しい、という内容と「自由闊達」と「勇気ある知識人」という本学のキーワードを覚えて帰ってもらいました。一回目の最初、挨拶で発声したところマイクがオンになっていなかったのにはちょっと驚かされました。すぐにオンにしてもらえたので大きな問題にはならなかったと思います。遠隔でのオン?オフの仕組みです。
学部の入学式の終了後は、2回とも急ぎ豊田講堂から車で経済学部キタンホールまで移動、ご家族に向けて名大の説明と寄附のお願いをしてきました。入学式、総長は休む暇がありません。とはいえ、2022年に総長になってすぐの入学式では、コロナ禍であったことから6回に分けての開催、それに比べたら大したことはありませんが。あの時は、慣れていないこともあり、本当に倒れるかと思った…
また今回は、特別ゲストとしてノーベル化学賞受賞者の野依良治先生に祝辞をお願いしました。AIの時代、新しい創造の価値について、ライト兄弟の話を引用しながら力強く学生に伝えてくださいました。学生にとって、一生心に残る祝辞だったのではないでしょうか。ノーベル賞受賞者に祝辞をいただけるなんて、黄金城网址の学生は本当に恵まれています!
新入生の皆さん、失敗を繰り返しながら、どんどんとチャレンジして下さい。皆さんの活躍と成長を楽しみにしています。
また、今回の入学式、土曜日でありながら裏方として朝早くから活躍いただいた職員の皆さん、どうもありがとうございました。
4月4日③
本日午後には、大府市役所に向かいました。大府市と私が代表を務める愛知県ユニセフ協会との連携に関する包括協定締結式に出席するためです。
大府市は、日経新聞が選ぶSDGs先進度調査で人口が5万人以上10万人未満の市区ランキングで3年連続全国トップの評価を得ています。NPO法人「人間の安全保障」フォーラムによる「愛知県の人間の安全保障指標」でも愛知県の54の市町村の中で総合指標トップでした。
いつまでも住み続けたい街ということで、人口が増えている大府市、そんな中で、「みんなが輝く“こどもどまんなかおおぶ”」という理念のもと「大府市こども計画」を策定してこどもの権利の尊重や支援に積極的に取り組んでいらっしゃいます。そのご縁で、「子どもの権利条約」をもとに行動している愛知県ユニセフ協会との連携が実現しました。調印は岡村秀人大府市長と私の間で行いましたが、副市長や教育長も同席され、またテレビ各社や新聞社など多くのマスコミが駆けつけるなど、思っていたよりも大々的な発表になりました。もちろん調印はスタートに過ぎません。出前授業や講演会などユニセフがどのように今後関わっていけるかが大切になります。
大府市、最近は有名な鈴木バイオリン製造が名古屋市から移転してきたこともあり、「バイオリンの里おおぶ」としても売り出し中です。そういえば、2017年に「アインシュタインと音楽、そしてヴァイオリン」というタイトルで、大府市で講演をしたことを思い出しました。鈴木バイオリン製造が移転する前だったのですが、かつて分工場があった縁で、大府市歴史民俗資料館で、鈴木政吉が住んだ町~幻となったヴァイオリンの里、という特別展が催され、それに合わせての講演でした。この特別展では、アインシュタインが鈴木バイオリンを寄贈いただいたことに感謝する直筆の手紙も展示され、バイオリン王と呼ばれた鈴木政吉の美しいハンドメイドの楽器とともに、強く印象に残っています。なお、ここでのヴァイオリンとバイオリンの表記は、それぞれ元の表記にならっています。Vだからヴが正しいとは思っていますが。
4月4日②
本日午前中には、米国ノースカロライナ州の農業貿易ミッションのヘッジコック代表に率いられた州の農業関係代表団と面談しました。
州の議員や在ローリー日本国名誉領事など州政府関係の方々や、6代目の農家というような方々まで多様な方々でした。2月にノースカロライナ州立大の学長と一緒にいらっしゃったスティーブン?ロンメル先生も再びのご訪問です。
最初にお互いの紹介や挨拶(それだけで一仕事でしたが)をした後、名大の農学関係の研究?活動について、中園生命農学研究科長から紹介いただきました。その後の自由討論では、米国の農家は高齢化、後継者難の問題があるのだが日本ではどうか、日本の大学では農学関係の予算はどのように取るのか、などなかなかに答えにくい問題が多かったです。予算については、米国では民間からのお金が相当入ってくるようですが、日本は政府関係がほとんど全てで厳しい状況です。
4月4日①
今朝は快晴、桜も満開となって最高の桜日和です。明日の入学式まで桜、もってくれることを祈っています。
本日は何件かイベントがあるのですが、まず、通勤途中で撮った豊田講堂と多元数理科学研究科の間にある桜の写真をアップしておきます。昨年は週末に満開がかかったので、学内の桜を写真に収めましたので、よければ昨年4月の自由闊達通信、ご参照ください。
4月3日
本日は、朝に新入教員研修がありました。
豊田講堂シンポジオンホールにたくさんの教員の方に来ていただいて、最初は岐阜大学と繋いで東海機構について松尾機構長らからの説明でした。その後、黄金城网址について、歴史から今取り組んでいること全般まで、私から30分ほど話しました。時間がなくて質問をほとんど取れなかったのが残念でした。皆さんの活躍が黄金城网址を支えます。期待しています!
その後は時間を空けず、黄金城网址の中に研究所を開設しているラクオリア創薬株式会社の社長らの表敬訪問を受け、引き続いて愛知県病院事業庁の事業庁長らの表敬訪問と、立て続けにご挨拶をいただきました。ちょうど人が変わる時期というのもあるのかもしれません。ラクオリア創薬は1月に、病院事業庁はこの4月にトップが交代とのことです。どちらも黄金城网址にとって大切なパートナーです。これからもどうかよろしくお願いします。
4月1日
今日も肌寒い1日となりました。
新年度の初日、ということで新任の幹部職員の方々がご挨拶に来てくださいました。今回のタイミングで、本当に多くの方が異動となりました。最初は少し慣れないかもしれませんが、気持ちを新たにしていただき、新しい部署での活躍期待しています!
午前中にはイギリスからのお客さんにお会いし、また夕方には新年度1回目の教育研究評議会がありました。こちらも相当数交代されたので、新任の方にはご挨拶いただきました。評議員の皆さん、本年度、どうかよろしくお願いします。